先日放送したスナックミコトのママのOAを見て、とある一人のママから「出てもいいわよ。」連絡を頂き、さっそく打ち合わせに行ってきました。
そのママのお話がとても印象的でしたので、ご報告いたしますね。いずれ放送することになるでしょうけど、待ちきれず。
ママをされてるその女性は63歳。現在は小料理屋さんをしていますが、60才まではラウンジのママも兼務されていました。
とてもチャキチャキして、いかにもやり手だという印象があったので、”才能でママになった”のだと思い話を聞いていると、実は”努力型のママ”だということがわかりました。
ママが水商売の世界に入ったのが23歳の時。当時、昼間は幼稚園の先生をしていましたが、母子家庭で病弱な母親の面倒をみないといけないという事情で、夜もスナックで働くことにしました。昼の仕事上、目立つ仕事ができないためホステスではなく、裏方のスタッフとして働き始めたそうです。
「その裏方の仕事がつらかった」とママは語ります。きれいにマスカラをつけた大きな目を閉じながら。
裏方の仕事は、お客さんの飲み物や食べ物を作ってホステスに出したり、お店の掃除やおしぼりの準備・皿洗いなど、ありとあらゆる雑務をこなします。
幼稚園の仕事の後の疲れた体で、きっと同じ年くらいのホステスに指図されたりしながら。肉体的・精神的に苦労があったことは想像に難くありません。
今と違い、当時のお客さんはお酒の飲みかたも豪快でした。そのためトイレで戻すお客さんが多かったそうです。当然その処理も裏方だったママの仕事。
「トイレの便器に吐く人はまだいいのよ。問題は間に合わずに手洗い場で吐く人がいてね…」
トイレの惨状を見つけたママは、汚物をかたずけるためビニール手袋を探しました。すると当時のマスター(男性)から大目玉を食らったそうです。
「ばかやろう!それは素手でかたずけろ!」
「だって…汚いじゃないですか…」
「その気持ちはわかる。わかるけど俺たちはお客さんにお酒を飲んでいただいたお金で暮らしてるんだ。
だからそのお客さんが飲んで失敗した物を汚いと思ってはいけない。感謝の気持ちを持っていればビニールの手袋なんていらないはずだ!」
マスターの言葉が心に響いたママは、以来お客さんが手洗い場で失敗しても必ず素手で片づけました。失敗をしたお客さんからは感謝され、ホステスではなく裏方のママにチップをくれることもあったそうです。
「不思議な事に何度もやってると慣れてきて、このお客さんは、すき焼き食べたとか刺身食べたとか、分析できるまでになってきたのよ。」
ママはそう言って笑います。
「人生に無駄なことは何もない。私はマスターにお客さんへの感謝の気持ちを学んだの」
その後ママは、夜の仕事がばれて昼間働けなくなったため、裏方から収入の多いホステスへ転向し、夜の仕事一本にしぼります。昼間にできた時間はお客さんを喜ばすため習い事に充てることにしました。
生け花・茶道・着物の着付け・三味線・書道、ありとありゆる芸事を学びました。
その後、独立しラウンジのママとなり、現在は小料理屋さんを営む日々。
その小料理屋さんの看板には「営業時間:朝10時~翌深夜1時」とあります。
63歳、いったいどれだけ働くんですか?と尋ねると
「人の3倍努力しなきゃだめよ!」
そう言ってタバコに火をつけた途端、入り口のドアが開きお客さんが入ってきました。
「いらっしゃい!」と言うと同時に、素早くタバコを灰皿に押しつぶして、小走りでキッチンへ回るママ。
この日の打ち合わせ、まるで一本の重厚なヒューマン映画を見た後のような気分でした。ママへのスタンディング・オーベーションは数日がたった今もなお僕の中で続いています。
汗と努力で彩られたママの人生経験がつむぐ言葉の結晶。撮影は来週の水曜日。放送日は未定。ぜひごらんください!
ディレクター 松田大輔
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ママの格言のコーナーにご出演頂けるという方、随時募集中です。
上のメールフォーム・FAX・はがきでご連絡ください。
先週放送分のエムオンさんのプレゼント。この番組はまだ始まったばかりですので商品を余らせないか心配だったのですが、たくさんの応募があり、全部の商品を発送できそうです。応募してくださった皆様ありがとうございました。今後抽選をし、商品を発送させていただきますのでしばしお待ちください。
そして、はがきやメールに書いていただきましたコメントもじっくりと読ませていただいております。
とてもうれしかったです。
お褒めの言葉や中には叱咤のお言葉まですべてがありがたく、今後の番組つくりに生かそうと思っております。
ケーブルテレビには視聴率というものがなく、はたしてどれくらいの人に、またどんな年齢層・性別の方に番組が見られているのかが分かりにくく、こういったお声のみが唯一視聴者さまの反応を見る手段になっているのです。皆さんがどんな番組が見たいか、どんな情報が知りたいかをいただいたコメントから察して、こんなのを作ったら喜んでもらえるかなと考えながら番組制作をするのが私の仕事でございます。
弱小の制作チームで、この番組でいえばレギュラー制作スタッフは私一人です。
まちがっても嵐がでたり、福山がでたり、AKBがでたりすることは、私が宝くじ当たろうとも無理でございます。
が、そこはどうかひとつ、「あのバカが一人でやりよるんじゃからメールの一つも送ってやるかいのー」という少しばかりのやさしさと粋な心意気でアドバイスいただければ、私体中の穴という穴からアドレナリンを噴出して、番組つくりにまい進していく所存でございます。
…と、皆様へのお願いをたらたらとつづりましたが、上記の内容を踏まえたうえで新たなお願いがあります。
(お願いしてばっかりやな…)
実は、来週もプレゼントがあるのです。募集は3名様です。詳細は来週放送の中で告知しますのでメールやはがき・FAXでどしどしお待ちしております。
今のところ、どんな宝くじを買うよりも、どんな選挙に立候補するより、当選する確率は高いと断言できます!
できましたら、番組の感想や皆様の日常の出来事など一言を添えまして、応募をお待ちしております!
松田大輔
GWいかがおすごしでしたか?私は今年はゆったりとした休日をすごすことができました。
ほとんど唯一、出かけたのが須佐の遊覧船です。漁船で須佐湾を出発して、ホルンフェルスなどを見学できるのです。
約1時間の遊覧で自然の雄大さを感じました。
須佐の駅・GWとは思えない静けさ。「ほっ」とします。
イカ釣り漁船が期間中は遊覧船に変わるそうです。
わざわざ人ごみに向かう勇気のない僕はなぜか縁もゆかりもない田舎町へ車を走らせました。
それでも結構人がいたな…。
また皆さんのGW思い出なども番組に教えてくださいね!
そして現在放送中なのは「風景印220景」。下関市の矢玉地区を訪問して「浜出祭」と「土井ヶ浜」を紹介しています。
今週も楽しいロケでしたが、心配していた事態に10回目のロケではじめて遭遇してしまいました。
それはまだまだ時間があるのに、次の場所が遠すぎてタイムアップになるという事態です。くじを引いた時点で撮影が終了してしまうのです。
これまでは運の良いことにギリギリの場所へくじが導いてくれましたが、今回はそうはいきませんでした。
「下関市の矢玉」の時点でまだ15時30分くらいですが、次の目的地が「萩市のむつみ」では到着は完全に17時を過ぎてしまいます。
まだまだ昼下がりなのにロケ終了の事態はつらい。そこでどさけんさんがひとつのアイデアを思いつくのです…。
…というのが今回のお話。どうぞご覧ください。今週は笑顔のおじさん「長谷川さん」が郵便局好きの意地を見せ、どさけんさんと意見を戦わせます!
ディレクター 松田
空中散歩第2弾「山口市の桜を見よう!」。放送致しました。
空からの桜の映像はとても綺麗でロマンティック!なにせ、撮影した空撮ジャパン西村さんからして新婚ホヤホヤ中のホヤホヤ!婚姻届を提出してすぐのフライトでした!
番組で、空からの幸せのおすそわけと相成りました。放送は先週で終了でしたが、その一部をHPでも公開しますね!!
①西村さんフライト前。緊張の面持ちの中にも幸せいっぱいです!!
②空からの一の坂川。上から見るとこんな感じ!!山口市随一の桜の名所ですよね。
③山口市の木戸公園の桜です。あまり知らない人もいるかと思いますがなかなかの桜スポットです!来年はぜひどうぞ!!
④山口市の平井の河川敷。桜の絨毯!この日は大学生などの花見客もたくさんいらっしゃいました。
※動画を見たい方はこちら!(Ytubeへ飛びます)
http://www.ytube.jp/home/VidDetail?owner=user&id=10004288
これからも西村さんには様々な場所の空からの映像をお届け予定です!!次回は防府市を予定しています!
空撮ジャパン 西村さんのHP http://www.kuusatujapan.jp/
◆なお、まだまだプレゼント募集中です!!
①ソニーワイヤレススピーカー 1名様
②エム・オンマグカップ&タオルセット10名様
メールフォームやハガキFAXでご応募ください!
ディレクター 松田
今日の朝食はイングリッシュマフィンなるおしゃれなものでございました。
外カリ中フワなモーニングとしゃれこもうというわけです。
これだけでは味気ないのでハムを間に挟んで焼くことにしました。
別にこだわりはないのですが、冷蔵庫にあったハムに目を付けました。
マフィンにハムを乗っけてトースターに入れようとしたときハッとしたのです。
つまらんことですけど、ハムとマフィンが寸分たがわず同じ大きさだったのです。
この気持ちよさに若干の感動を覚えながら私はこのモーニングセットをイートしエンジョイしながらゴー・トゥ・カンパニーした次第です。
どうでもいいことですがマフィンはPascoという会社が作っていて、ハムは日本ハム製品です。
何で同じ大きさなのか!?
同じ会社の同じシリーズなら何の疑問もわかないのですが、他社製品でなぜこんなピタリ賞が起きたか考えた結果、私は一つの結論に達しました。
ハムの大きさにマフィン側が合わせたんだ!
よく考えると、ハムってどこの会社のも大体あの大きさですよね。(調べたら直径8cmが多し)
だからマフィンも「うちもハムを載せてもらえるように同じ大きさにしちゃえ」となったのでしょう(予想)
世の中にはある基準があって、その基準をもとに派生した商品や新製品が作られたりしているわけです。
手に取りやすいサイズを研究してi-phoneができて、その後i-phoneケースができるわけです。
耳よりも大きな耳かきはありえないし、足より小さな靴は何の意味も持ちません。
世の中バランス感覚が命!
さて「にんげんのGO」ではプレゼント総数と応募総数とのバランスを間違えました。
プレゼント総数11に対し、応募総数は全く追いついておりません。今ならきっと皆様に商品が行きわたることでしょう。
どうぞ皆様こぞってご応募あれ!
①ソニーのワイヤレススピーカーシステム 1名様
②エムオンさんのマグカップとタオルセット 10名様
◆このHPのメールフォーム、またはハガキ・FAXでお願いします
〒753-8538 山口市中園町7-40 山口ケーブルビジョン 「にんげんのGO!」プレゼント係
fax083-924-2484
※お名前・住所・電話番号の記入ををお忘れなく。締切5月8日まで
最後にもうおひとつ朝食の話の続きを。
ハムとマフィンはピタリ大きさが合い喜びましたが、写真のように「とろけるチーズ」とは大きさが全くもって合いません。
チーズ1枚ではパンからはみ出すし、半分にしたら小さすぎるし。どうしたことか!
今度はなぜとろけるチーズがあの大きさで落ち着いたかを考えてみようと思います。
ディレクター 松田大輔
4月30日より番組のホームページができました。今後プレゼントの告知や雑談などを更新していきたいと思います。
また番組の紹介を記載していますのでお時間のある方はさかのぼって読んでくださいね。
さっそくプレゼントの告知を!
①ソニーのワイヤレススピーカーシステム 1名様
②エムオンさんのマグカップ&タオルセット 10名様
なんと合計11名様にプレゼント。はっきり申しましてチャンスでございます。
番組始まってまだひと月。応募者全員プレゼントにならないともかぎりません!
スピーカーも格好いいですし、タオルもマグカップもおしゃれですよ~!!
※応募方法は、HPのメールフォームがお勧めです!
その他の応募方法はこちら
◆ハガキ 〒753-8538 山口市中園町7-40 山口ケーブルビジョン「にんげんのGOプレゼント係」
◆FAX 083-924-2484
応募の際は端っこに一言感想などを添えていただくとうれしいです。宜しくお願いします。
ディレクター 松田
HP解説記念!番組紹介シリーズ3弾!「人間交差点~ママの格言~」
番組は現在3つの企画を順繰りに放送していますが、3つ目はスナック・ラウンジ・小料理屋などで働く「ママ」という職業にスポットライトを当てた企画をお届けしています。
昔、テレビの番組の企画を考えた時に誰のどんな話を一番聞いたら面白いか?考えたことがありました。
そりゃできるだけ経験豊かで、なかなか聞けない話を聞いてみたいというのが人の性です。
対象は男性なのか女性なのか? 何歳くらいの人が面白いか? どんな職業の人が面白いか?
職業でいえば、政治家の駆け引きの話も聞いてみたいし、芸人さんのバカ話も楽しそうだ!社長の豪遊録なんかも好奇心そそるな。
…なんてことを考えた時に、一ついいアイデアが浮かびました!
「いろんな人と話したことのある人と話したらいいじゃん!」
そう考えたときに浮かんだのが「ママ」でした。
老若男女・いろいろな職業の人が毎晩のように訪れ、当然お酒が入っているのでいろいろなお話をしているはず。
そうと決まれば話は早い!さあいろんなスナックに出演交渉だ!
こんな感じ。企画の始まりはこんな単純な動機でしたが、いろいろなママさんとお話をすればするほど、ママさんの奥深さに魅了されていきました。
毎回毎回、お金を払っても聞くことのできないとても貴重なお話をしていただいている感じです。
月に一度程度、この企画を放送予定です。
◆そしてこのHPでもブログ横の格言コーナーで、これまでに紹介したママの格言を紹介しています。
クリックするごとにママの言葉が出てきますのでお楽しみに。
◆また横の入り口「素敵なママのいる店」よりこれまでに訪問したお店の紹介もあります。
◆そして番組から一つお願いが!
皆さんの周りにもきっとすてきなママさんがいるはず!もしも心当たりのある方はメールフォームよりご紹介いただけないでしょうか?
番組の感想もあわせて、皆様の声お待ちしております。
HP開設に先立って番組の企画を紹介するシリーズ。今回は「風景印220景」のPRです!
風景印というのは
↑こういう消印のことで郵便局に行くと押してもらえます。(設置していない局もあり。)
消印ですので押してもらうには50円以上の切手が必要です。
見ての通り、その局独自の図柄がデザインされているのでその図柄を見て回ったら山口県内の物知り博士になれるというわけです!
山口県には220種類の風景印があるの全部見て回ったろうやないかい!というのが企画の趣旨。今34個。まだまだゴールは見えません。
◆目的地をきめるのは…
←こんなくじです。風景印のある郵便局の名前が書いてあります!
◆そしてこの先の見えない道中を回ってくれているのが…
←吉本興業山口県住みます芸人どさけんさん(右)と風景印に詳しい素人長谷川一夫さん(左)
◆どさけんさんは人柄で勝負しているというだけあって「ネタはそうでもない」けど「人当たりはよい」ので道中いろいろな方とふれあい、いつも番組を盛り上げてくれています。ほかの番組でもいくつかレギュラー出演をされているのでご存じの方も多いと思います。
どさけんさんのブログ http://www.ynn47.jp/yamaguchi/
◆長谷川さんは切手収集家で「大阪弁」を話します。番組で郵便関係の豆知識を披露してくれますが、あまりにマニアックすぎてカットことも多いです。
すてきな笑顔でいつもほっこりしています
ほかにカメラマンの山野さん・マネージャーの大木さん・ディレクターの松田の5人でいつも県内をグルグル回っています!
ほんとうに220局も回れるのか?
5月は下関市の矢玉郵便局からスタートします!お楽しみに。
↑これ、パワードパラグライダーって言います。後ろにプロペラが付いててどこでも空を飛ぶことができるすごい乗り物です。
乗っているのは空撮ジャパンという会社の西村博夫さんです。
西村さんはこれを背負っていろいろな場所の撮影を手掛けています!その一例をドーン!
建物のCMなんかに使用する空撮が西村さんのお仕事!素晴らしい眺めですよね!さらにドーン!
←これ角島大橋なんですよ!上から見たらさらにキレイ!
←こちらは錦帯橋!殿様気分ですな~!
番組では月に一度くらいのペースでこの西村さんに空を飛んでわが町の空からの映像をお送りする企画を考えました!!
その名も「MYTOWN 空中散歩」です!
何のひねりもない企画名ですが、ひねる必要がないくらいすごい映像がお届けできるはずです!
第1回目は4月1日から放送しちゃいました。その一部をドーン!
←おなじみの山口市の瑠璃光寺五重塔です!
この角度!この大きさ!鳥以外見ることのできなかった眺めを「にんげんのGO!」は実現いたしました!
今後とも定期的に西村さんの空からの映像をお届けします!いやはや楽しみ!!
西村さんの会社(有)空撮ジャパンHP http://www.kuusatujapan.jp/
★そして番組放送終了後には、西村さんの撮影した動画をHPでも公開しようと思います!ぜひぜひ鳥になったつもりでどーぞ!
そして随時、番組内で西村さんに飛んでほしい場所を募集中です。
「じいちゃんちの上飛んで!」とか「ぼくの学校の上飛んで!」とか可能な限りリクエスト受付します!!
詳しくはメールフォームよりお便りください!
先日、同僚がヒョンなことからかかとの骨を折るけがを負い、その大惨事の現場に立ち会うことになりました。
当然ですが、彼は大変な痛がりようです。顔からは脂汗が滴り、顔をしかめ、唸り声を上げ続けています。
そばにいた僕も心配し、狼狽し、救急車を呼ぼうかと彼に尋ねると、「あ、歩けないから頼む」とのことでした。
「怪我した人間は動かすな」といつもテレビで言っているので、無理はさせてはならじと電話をしました。
すると「事故ですか?事件ですか?」という声。
警察にかけていました。まさかこんな間違いをするなんて!きっとテンパっていたのでしょう。
いわゆる“大惨事あるある”を体感したところで、我に返りちょっとはにかんで、彼を見ると一緒に笑ってくれるでもなく転げまわって痛がっています。
そんな余裕はないのです。
いかん!いかん!そんなおっちょこちょいをしてる場合でも、はにかんでいる場合でもないのだと気を持ち直し119を押す私。
「火事ですか?救急ですか?」の声に一安心し、状況を説明するとすぐに救急隊が向かうのことです。
その間も彼のかかとから痛みが引くことはなくうずくまっていました。足を抱える体勢を固定するため、座布団などを腰や腕の下にあてがいます。
惨状を聞きつけ数人が取り囲んで心配し、「大丈夫か?」と声をかけています。
野球中継で、デッドボールを受けた選手がうずくまり、両チームの選手が取り囲んで担架が来るのを待つ場面とそっくりです。
違うのは彼がユニフォームを着ていないことと、ボールが当たるはずもないかかとを痛めている所くらいです。
さて、ここで話が核心に近づくので、デッドボールを受けた、もとい、かかとの骨を折ったけが人の名前を記すことにしますが、
彼は下の名を「郷夫」とかいて「くにお」と読みます。
すぐに救急隊が駆け付けて、救急車到着までの時間に、「郷夫」さんに色々な質問を投げかけます。
救急隊員「意識はありますか?」
郷夫さん「…あ、り、ます。」
救急隊員「痛むのはどこですか?」
郷夫さん「…み、右足のかかとです」
救急隊員「どういう状況でかかとを痛めたのですか?」
郷夫さん「そ、そこの脚立から…」
痛めた場所が頭ではなく、意識もはっきりしていることを確かめてからは、救急隊員は井上公三か前田忠明ばりに質問を投げかけます。
救急隊員「ご家族は?」
郷夫さん「つ、妻と子供がひとり…。」
救急隊員「ご連絡先はわかりますか?」
郷夫さん「え…と、090…」
救急隊員「いえ、あなたのではなく自宅の電話番号を教えてください。」
郷夫さん「じ、自宅には電話はないんです。」
救急隊員「なら奥さんのお電話番号を教えてください。」
郷夫さん「す、すいません。え…と…」
冷静に情報を収集し的確な処置を行おうとする救急隊員と、痛みのせいで普段の冷静さを失っている郷夫さんとのコントラストが妙にはっきりとしていました。
そして、そのようなやり取りが続く中、あるひとつの特筆すべき現象が起きたのです。
救急隊員「それではご住所を教えてください。」
郷夫「や、山口市〇〇町…」
救急隊員「お名前をおしえてください。」
郷夫「▼◆郷夫です。」
救急隊員「“くにお“というのはどういう字ですか?」
郷夫「ご、郷ひろみの、『郷』です!」
心配と緊張で二人のやり取りを真剣に聞いていた私の時間が一瞬止まりました。
「郷」の文字を救急隊員に伝えるために、彼がとったチョイスは「郷ひろみの郷!」だったのです。
痛みに打ち震えながらも飛び出した『郷です!』の4文字。
これまでに何人の物まねタレントが発し、それを受けて数えきれない日本人が使用したであろう『郷です』の4文字。
「go」というよりは「gyou」に近い発音の口の中で引っかかるあのニュアンス。
目を閉じると、引き締まった体に白い歯をのぞかせてバックダンサーの前で、キラキラの衣装を着て「郷【gyou】です!」とポーズを決めている郷ひろみが現れるようでした。
郷夫さんが発した「郷です!」は力強さと自信に満ちあふれていました。今思えば若干、物まねタレントのように【gyou】という発音だった気がします。
おそらく彼はこれまでの人生で多くの初対面の人間に「くにお」の「くに」は「郷ひろみ」の「郷」だと説明してきたのでしょう。彼にとって「くにお」の読み方を問われて「郷ひろみの郷です」と答えるのはまさに「梅干しを見れば唾が出る」ようなごくごく自然なことだったのだと思います。
普段ならば「へえ、郷ひろみの郷なんですね」ですむやり取りで、違和感を感じません。むしろ「郷ひろみ、昨日ミュージックフェアに出てましたよね」などと初対面の人との会話が弾むツールとして、非常に有効なやり取りということができます。
ただ、この日の状況は違いました。初対面の人間は救急隊員で、「郷です」と発したのは脂汗を流す怪我人なのです。
緊迫した状況で「今、郷ひろみを使って説明するか!?」とつっこむのも空気を読まない人間だと思われるので、心配そうな顔つきのママ黙っておりましたが、僕は心の中で、実はちょっとニヤっとしていました。
人が苦しんでいるのになんてヒドい奴だと自分を責めながら、懺悔のつもりでこの文章を書いています。言い訳に聞こえるかもしれませんが、僕は彼のかかとを心配し、痛みを同情しておりました。
ただ、痛みをこらえうずくまる彼の口から郷ひろみという言葉を聞き、そのギャップがあまりにも大きかったことがなんだか可笑しかったのです。
彼は現在ギブスもとれ、ピンピンしています。治ったからもう時効だろうと文面に起こすことにしました。
(※現在の郷夫さんのかかと)
最近、人間というのはこんなもんかもしれないなと思っております。
痛むのも人間。心配するのも人間。クスっとするのも人間。ほとぼりが冷めて文章を書く計算高さも人間。
ただ言えるのは僕たちはこの時間を、同じ放送エリアで関わり合い生きているのという事実。
せっかく近くに暮らしているのだから、少しでも楽しいことを多くの人たちと共有したいなという思いを込めて番組の名前をにんげんのGO!にしました。
郷ひろみの郷ではありません。
少しでもたくさんの地域の方と関わり合い、皆様の日常のクスっとするような一場面をテレビ画面に“おいしく”登場させていきたいなと思います。
これからもテレビにご出演いただく被写体として、あるいはテレビをご覧いただく視聴者として、宜しければ番組にかかわっていただければとてもうれしいです。
ディレクター・松田大輔
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