「いただきます」はカット候補
03月28日
来週の放送分を編集中なのですが、息抜きがてら雑談を書こうと思います。
といいますのも、今回もあったのですが、出演者複数人が食事をするシーンのお話です。
まずAさんが「いただきまーす」と言って、食事をし、その感想をコメントをする。
次にBさんが同じく「いただきまーす」と言って食事をしてコメントする。
最後にCさんも同じ行動をしたとしますよね。
これを編集するとき、出演者が言った「いただきまーす」をカットしたら「あいつら食べるときに挨拶もしないで食べたぞ。常識のないヤツらだぜ」みたいなレッテルを貼られやしないかと私は結構悩むんですね。
番組としては出演者の感想コメントに 食べ物のインサート映像をかぶせるだけなので、「いただきます」も「ごちそうさま」も、不要なんですよね。
放送尺に余裕があれば、あるいは何か意図がある場合には、最初のAさんの「いただきます」くらいは使う場合もあるかもけど、さすがにBさん、Cさんの「いただきます」は使いませんよね。
撮影したものをそのまま放送しているわけではないということを、ほとんどの視聴者の人はご存じとは思いますが、妙な勘違いをされたり、こちらの考えのとおりに伝わらなかったり、出演者を嫌いになったりされては私は困るんです。
このような誤解が生まれないように、出演者も視聴者も全員がよい感情で見終えられるように持っていくのがディレクターとしての仕事ではあるんですがね…。
◆ちょっと似た話ですが、北野武監督の方程式の話、ご存じですか?
殺し屋Xが順にA、B、Cを殺す場面を描く場合、何も考えなければ殺す場面を3回撮影しますよね。
これだとだらけちゃうので、まず殺し屋XがAを殺す場面を描く。
あとは銃声などとともにBとCの死体を撮ればそれで連続殺人が行われた事実が伝わるわけです。
映画がよりシャープにスマートに伝わるというエピソードです。
XA+XB+XCではなくX(A+B+C)というような方程式で表せるというお話ですね。
私もドラマなら最初にAさんがラーメン食ったシーンのあとに Bのラーメンの空き容器と、Cさんがつまようじを口に入れるような画で、3人がラーメンを食べたのだと表現するのかもしれませんが、バラエティ番組ではなかなかむつかしいです。台本があるジャンルではないし、食べた事実ではなく、食べた後のコメントが情報として大切で、しかも内容をばらけさせないといけないわけですのでね。
だからまず問答無用にカット候補になるのは「いただきます」なんです。
そういう礼儀作法と言うのは、スムーズな番組構成上、カットされやすいということは是非知っておいていただきたいのです。出演者の礼儀がなっていないということではないんです。
他に 例えば出演者が突然、下着姿になってふざけた場面があったとしたら、それはもちろんその前に、周囲に「ごめんね」というくだりがあってのことだし、(もしくは終わった後にフォローするか)そういう放送されていないところにも、普通の人間としての常識行為は行われているんだということはやはり頭に入れておいていただきたいんですよね。
その手品の種を見せたら、面白さは半減するわけですから。
そこは暗黙の了解でないといけないわけなんですよね。
視聴者がより上手に番組を見るための嗜み(たしなみ)なんですよね。
◆改めて私の番組に出ている人は全員いい人です。
(そもそも、いい人としか一緒に仕事をしたくない。)
仮に放送の中で「いただきます」と言わなかったとしても、現場ではちゃんと言っています。
他のメンバーなどに失礼なことを言っていたとしても、ちゃんと謝って了解を取ったり、人間関係が構築された上でやっていることです。
別に何かトラブルがあったからこういうことを書いたわけではないのですが、一度ここで言いきっとけば私の編集も楽になるし、変なことで心配する手間が省けるわけだから、ここは息抜きを兼ねて一度ちゃんと書いとこうと😊
とりあえず、来週の2分20秒あたり、長谷川さんがサラダを食べるときに言っていた「俺、野菜好きなんよね、いっただきまーす」というコメントはサクッとカットしてます(笑)
この3秒くらいのどうでもよい間は完全なカット候補です。
ですので、来週放送を見た人に長谷川さんは野菜好きだし、ちゃんと礼儀正しくいただきますと言っていることをここに書き記します。そのあとのわだりえさんの「いただきます」も同じです。
皆様におかれましては引き続き行間を読んだご視聴をお願いしたいと思います。
演出 松田