路地と国道、どっちを進む?
10月09日
10月から身の回りのテレビ業界でいろいろな変化がございました。
まちかどニュースも新しいセットになり、県内でもいろいろな番組がスタートしました。
当番組はそんな世間の流れに一切惑わされることもなく、今日もせっせと暗い隧道を放送中。
番組自体もどこかに同業者の手垢がついていない題材はないものか、切り口はないか?
メディアのトンネルの中を豆球一つ持って進んでいるわけございます。
ポップなネタに走るのは面白みに欠ける気がして気が進まないし、かといってニッチなネタに行き過ぎると視聴者さんに嫌われやしないか心配だ。
そんなところを反復横跳びしながら、その間のちょうどよい場所を探り探り番組を続けてまいりました。
ここ3週間ほど続けさまにお送りしている隧道シリーズ。
ネタがネタだけに完全にニッチだと思われるでしょうが、しかし取材を進めれば進めるほどに、地域情報を扱うケーブルテレビとしてはメインストリーム(王道)であることに気づかされるのです。
今週の昭和隧道についていえば、これは宇部市(厚南村)の基礎を築いた用水路の延長線上にある話だし、前回の浅地隧道に関して言えば旧国鉄の山口線の延伸に起因した話です。
その前の瀬戸浜隧道はエリアこそ徳山ですが、これも藩政時代から続く産業構造の変遷を学ぶことができるわけです。
つまり私はニッチな方向に…例えるなら路地に入って細い道をうねうねと進んでおると、結局いつの間にか大きな国道にでていて「あれ?」みたいな。
「わざわざ変な場所を歩かなくても、たどり着く場所一緒じゃん。」みたいな。
そんな感覚に襲われるわけです。
まあ結果として遠回りだったわけですが、私は決してこうは思わないと決めています。
「いやあ損したなあ。だったら最初から国道を歩いて来たらよかった…」と。
たとえ時間はかかっても、目的地が同じでも国道沿いをストレートに来るよりも「学び」の多い路地を行った方がはるかに面白い。
学ぶことが無くても「学ぶことが無かった」ということがわかっただけ良いルートを選んだと。
路地を歩けばふと目にする垣根にも、溝のフタにも、家の前に置かれた子供のおもちゃを見ても、何らかの感動があるではないか。
だから迷ったときは小道に入ろう。路地最高。
だってそこには人が見落としている何かがあるはずだから。
…てなことは番組開始以降ずっと思ってやってきたのですが、ここにきてふと思ったのです。
「あれ?でも私が歩くのを避けていた国道沿いには面白いものは全く無かったのだろうか?」
つまり、私が路地をうねうね歩いてきたのは、そっちの方が国道よりも面白いものが多いという仮説が前提だったわけです。
国道沿いにも面白いものがないわけではないし、国道沿いならではの面白みもあるはずです。
そもそも国道沿いに「面白いものが無い」ということを確認する意味でも、国道を歩く必要があるのではないか。
「よし!今度は少し国道に沿って引き返してみよう!!」
国道を走る大きなトラックの勢いに圧倒されたり、にぎやかな繁華街を横切ろう。
大きなチェーン店の店先で甘いドーナツの香りでも楽しもう。
そういうのもきっと面白いはずだ!
結果としてテレビをご覧になった方に何かが残るような番組になればと。
たいして変化のない番組ではありますが思うわけでございます。
結論はセットもBGMも変化はないけど、番組は日々変化して行きますよ感をアピールしたかったのでした(笑)
明日は七輪でサンマを焼こうと思います。
演出 松田大輔