改めて、潮音洞、どうでしょう?
09月29日
岸田新総裁が誕生し、相撲界では白鳳が引退。
小室さんは帰国し報道陣に囲まれ、さいとうたかをさんの訃報がつたわる。
世界がダイナミックに動いた昨日今日。
私はといえば来週放送されるであろう滝の映像をパソコン上で並び替えて、ふむふむ、こうかなそれともああかなと腕を組み、ひと段落したら珈琲をすすって、その利尿作用に襲われトイレで用を足す。
で、席に戻るとあれ、今おれは何の作業をしていたのだったかなとまた腕を組む。
しばらくして「おおそうだそうだ。」と思い出しまたパソコンの画面とにらめっこ。
世の中のダイナミズムと比べてみると、いかにもちっぽけで、私が繰り返しパソコンのキーボードをタッチしている作業は何か意味をもっているのだろうか。
はたして誰かにとって役に立っているのだろうか。
ふとそのようなことを思うことがあります。
こういう思考に陥ったときにいつも勇気をもらうのが、取材で知りえた地域の人です。
仕事柄遠い人ではなく近くの人。
現在進行形で何かに頑張って取り組まれている人。
そして過去の偉人。吉田松陰とか高杉晋作なんか。で、さらには偉人でも何でもない、多分いたであろう市井の人。
私は勝手に勇気をもらっています。
よし。あの人が頑張っている、頑張っていたのだから、私も頑張ろうと。
そして勢いよく珈琲をごくり。
利尿作用でまたトイレ。
で、あれ?何だっけ…。
さっきと状況は何も変わってはいないけど、少しやる気がでてきてる。
この繰り返しですよね。
今回も、キーボードのワンタッチで思い悩む私を笑い飛ばす、あるいは叱り飛ばす、強い強い声が遠い過去から聞こえてきましたよ。
約370年前の周南市の鹿野、漢陽寺。
今となっては名もわからない男がふんどし姿で四つん這いになってノミをふって岩を掘っています。
現在は潮音洞とよばれる水のトンネル。当時はただの岩盤でした。
硬い岩盤。
一度に砕ける岩の量なんて、耳かき何杯分でしょうか。
はてしなき労力。
このノミをあと何回振るえばたどり着けるのだろう。
いや、たどり着くって何?
給金はもらえる。でも何。このルーティーン。
これが自分にどんなメリットがあるの?
そんなことはお構いなしに泥と埃にまみれ、無心で穴を掘るその男。
これが課せられた役目なのだ。
トップの代官は何かの未来が見えていたかもしれないけど、彼にはそんなことは見えていない。
言われるがまま毎日毎日穴を掘る。
そういう無名の人たちの果てしない労力と時間と引き換えに今の鹿野があるのです。
4年がかりで開通させたトンネルが下流域を豊かな田畑へと変え、町が作られていきました。
私は今回の取材でこういう事実を知りました。
あの汚い男は自分が砕いた岩盤がのちにどれだけの人を豊かにするかなんてまったく知りません。
ただただ岩を毎日毎日掘りました。
その仕事が以降370年間もその土地の人を豊かにし続けています。
誇っていいですよね、そのノミのひとかき。
タイムマシンがあったら、メダルでもかけてあげたいけどそうはいきません。
せめてそういう人がいたということは知っておきたいし、知ったからには誰かに教えなくては!
みなさんもここまで読んだなら、さあ、今週の番組を見てください!
よし!やる気が出てきたぞ~!編集頑張ろう!
来週は滝企画です!
演出 松田大輔