ママのプライド
10月21日
ママの格言も今週で14人目!そして初の美祢市のママ。
美祢駅から徒歩2分の「小料理・日本海」井町弓子ママです。
県内で唯一。海のない市町村・美祢市にあって、店名が「日本海」。
不思議に思うとママが話してくれました。
『いつも萩からおいしいお魚を仕入れてお店で出しているのよ。だから日本海なの。』
なるほどなるほど、お店の入り口には氷に包まれた海の幸が!
←元はかまどですって!
もともとママは萩市出身で魚の行商をしていたとか。
美祢市に知り合いも多く、知人から譲り受ける形でこのお店を開きました!
商売の素人の私から見ても、海のないところで新鮮な魚を売ればもうかることくらいわかります。
ただしそれにはきっと大変な苦労があったのでしょう。
開店して24年目。
中にはわざわざ遠くから山のなかのお店に来て、海の魚を食べる常連客もいらっしゃるとか。
僕はママに聞きました。
「そのお客さんは魚目当てで来るのですか?ママ目当てで来るのですか?」と。
するとママは一瞬のためらいもなくこう答えました。
「魚目当てよ。私目当ての客なんて一人もおらんわ!」
僕はこの答えに笑い、この言葉を「ママ流の謙遜」と理解しました。
しかし日が経つにつれ、ぼくは思い違いをしていたのではないかと思うようになりました。
つまり、ママは自分を「謙遜」していたのではなく、自分の売る魚を「自慢」していたのではないかと。
ママは完全に魚の裏方なのです。
店の主役はママではなく、魚なのです。
だから魚が旨けりゃ、ママがどんなでも客は来る!
客が来るんだからうちの魚は旨いんだ!
ママ勝負じゃあないんだ!
魚勝負なんだ!魚勝負なら負けないんだ!
ママの魚に対するプライドがそう答えさせたのではないかと僕は思うのです。
僕も自分の仕事に対してこれほどのプライドがもてているのでしょうか?
ママが魚なら、僕は何で勝負をしよう?
「魚目当てよ。私目当ての客なんて一人もおらんわ!」
…今回もっともジーンと心に響いた格言でした。
ディレクター 松田大輔